堺の技

注染

堺の技「注染」
堺いちでは職人の知恵と経験が生き、匠の技が支える商品を販売しています。

伝統的な手染めの染色技法、注染。表裏両面から染めるので木綿糸の芯まで染まり、鮮やかな色合いと色あせしにくいという特徴があります。
注染は防染糊を置く「糊置き」から始まります。大きな器に入った防染糊は、土と天然の布海苔を混ぜたもの。糊置きは、型紙を生地にあて、その上から糊をつけた大きな木のへらで、均一に薄く塗る作業です。職人さんは軽々と生地に置いていきますが、糊は弾力があり、力とこつの要る作業。使い込んだへらの握り部分は職人さんの指の形に凹んでいました。
糊置きを終えると、そそぎ染め「注染」へ。熟練の職人は50種類ほどの染料を調合し、無限の色合いをつくり出すそう。染色台の向こう側に、大小様々の染料を注ぐ道具「どひん」が並んでいます。まず防染糊が置かれていない白い生地の周りに、これも防染糊で「土手」をつくります。この土手の中に染料を注ぎこんで染めるのですが、複雑な柄になると十数種類の色を使い分けるそう。注染独特の技法である「ぼかし」は奥行きを感じさせ、プリントでは出せない味わいが表現できます。濃度の異なる染料を注ぐ、繊細で高度な手の技。「何十年やってもまだ勉強しています」とベテラン職人さん。
染め上った生地は水洗いし「立て干し」へ。かつてはすぐそばを流れる石津川で洗っていたそうです。豊かな川のめぐみも堺の注染を発展させた大きな要因です。染められた生地が立て干しされ、心地よさそうに風に揺れていました。「水洗い以外はほとんど手作業。機械化したいけれどできないんですよ」と語ります。趣味手拭いやゆかたブームもあり、多種様々な注文に丹念に、確かに応えていくことで全国有数の産地となった堺の注染。京都の高級料亭のフキン、人気キャラクターやご当地手拭い、海外有名ブランドのエコバッグ生地など、国内外で幅広い用途で使われるようになり、堺の注染はますます注目を集めています。

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